一般歯科

はじめに

突然ですが、むし歯を削って詰め物をしても、本当の意味で歯は元に戻らないことをご存知ですか?

むし歯の治療というのは削った部分が金属や樹脂(レジン)などの人工物に置き換わるだけですので、決して元通りになったというわけではありません。 また、1度詰め物が入ってしまうと、それのやり直しをその後繰り返すことになってしまいます。 中高年の方はご経験あると思いますが、歯の治療のほとんどが以前に治療したところのやり直しです。

当たり前のことですが、そのためにはむし歯を作らないことがとても大切です。

むし歯ってどんな病気?

むし歯とは、ひとことで言うと酸によって歯が溶かされる病気のことです。

では、むし歯はどうやってできるのでしょうか

「いつもしっかり磨いているのに、どうしてむし歯になるんだろう?」と思ったことはありませんか?

実は、むし歯はお口の中の細菌が原因で起こる病気です。 歯の表面につく白っぽい汚れ(プラーク)は実は菌のかたまりで、むし歯菌はこの中にたくさん住んでいます。

プラークを取って顕微鏡で見てみると…むし歯菌がこんなに!

むし歯菌は食べ物に含まれるお砂糖(大抵の食べ物にはお砂糖が含まれています)をエサにして酸を出します。 この酸が大問題!大切な歯を溶かしてしまうのです。

食事をするたびに、おやつやジュースを飲むたびに…気が付かないだけで歯は少しずつ溶けているのです。 これが進行して穴があいてしまうのが、むし歯の正体なのです。

1本でも多く歯を残すためには..

むし歯は痛いと思われる方がほとんどだと思いますが、実は初期のむし歯は痛くないのです!! というより、痛くなってしまった時には、すでにむし歯はかなり進行していて、神経(歯髄)を取らなくてはならないケースが多くなってしまいます。

歯の神経(歯髄)について

歯の根の中は空洞になっていて、その中に神経や血管などが詰まっています。 歯の中にある神経は冷たいものや熱いものを痛みとして感じます。

むし歯などによって歯の神経に細菌が入り込むと痛みを感じ、ひどい場合には神経を取る必要が出てきます。

歯の神経をとると、どうなりますか?

神経の中には血液が流れていて歯全体に栄養を送っています。 そのため神経のある歯は生きている歯、神経の無い歯は死んでいる歯と考えられ、生きている木と枯れ木に例えられます。神経を失った歯は弱く割れやすくなり、色も悪くなってしまいます。

また神経がないので、痛みなどの危険を脳に知らせることができません。 むし歯が進行しても気づかずに、抜歯しなければならないほど悪くなってしまうこともあります。 できることなら神経を取らなくてすむように、痛みが出る前に治療をすることが大切です。

この写真を見て、むし歯がどこにあるかわかりますか?

ここからは当院での実際の症例を使って具体的なポイントをお伝えしたいと思います。 むし歯の多くは歯と歯の間から穴があいていくことが多く、またこの時点では痛みもないため患者さんご自身で気づくということは難しいと思います。

ですがこれに気付かず置いておくとむし歯が大きくなってしまうわけです。 そのためにも定期的なチェックがとても重要になってきます。 年に3~4回の定期健診と年に1回はレントゲン検査をおすすめします。

歯と歯の間からのむし歯

奥歯の溝からのむし歯

痛みがでる前にむし歯を発見する

むし歯の大きさにもよりますが、小さいむし歯であれば悪くなった部分だけを削り、型取りをせず削った部分に直接レジンを埋めていくという治療ができます。 この治療ならご自身の健全な歯を最大限に残すことができ、またつなぎ目も滑らかに仕上がり再びむし歯になりにくい治療法であるため、歯にとって最良の治療法といえます。

右の写真のような型取りして、はめ込む銀歯では、ご自身の歯と銀歯のつなぎ目にわずかな段差ができてしまい、長い目でみるとそのわずかな段差や隙間から、再度むし歯になってしまうことが多いのです。それではずっと再治療の繰り返しです…。

一度むし歯になってしまった歯を再びむし歯にしないためにも銀歯ではなく直接詰めるレジン修復で治すこと、また治せる初期段階で発見することが大切です。 むし歯の大きさにもよりますが、小さいむし歯であれば悪くなった部分だけを削り、型取りをせず削った部分に直接レジンを埋めていくという治療ができます。

この治療ならご自身の健全な歯を最大限に残すことができ、またつなぎ目も滑らかに仕上がり再びむし歯になりにくい治療法であるため、歯にとって最良の治療法といえます。

塚本歯科クリニックではレジンやセラミックを使用した先進技術を取り入れた治療法を選択していただけます。 (保険適用と保険適用外のものがあります)むし歯は小さいうちに見つけてレジン修復で治すが大切です。

もし神経を取ってしまったら…

当院に来院された患者さんの中には、過去に治療を何度も行い、すでに神経を取られている方も多いと思います。 その場合は銀歯や白い歯で歯を覆うような被せ物をされていることが多いのですが、『被せてあるから安心!!もう大丈夫!!』と思っている方はいませんか?

いえいえ、そんなことはありません。むしろ被せてある歯の方がとても危険なのです!! 神経を取って被せ物をしても、またむし歯になる可能性はあり、もしなったとしても痛みを感じないので手遅れ(抜歯しないといけない状態)にならないと気づかないということも起きてしまいます。

そうならないためにも重要なのは神経を取って被せ物をする場合はフィットの良いものを被せることです!! 『360度ある自分の歯と被せ物のつなぎ目をどれだけ適合よくするか』に再びむし歯になるかならないかの運命がかかっていると言っても過言ではないぐらい、とても大切になってきます。 保険診療では使う材料や工程が最低限のものになってしまうため、正直なところ私たちが求める満足のいく精度に仕上げるのは困難と言えます。

ですから神経を取った歯には精度の良い被せ物をすることが重要です。 神経のない歯の被せ物にはフィットの良さが命なんです。

歯を失って後悔しないためにも

第一大臼歯を例に話をすると、一度むし歯になると削ってつめ物をします。 しばらく(6~7年)するとつめ物は外れ再治療をします。 その後はそれを5~6回繰り返したのち、40~50年程で歯を抜くことになります。

やむなく抜歯になった歯に思いをめぐらせると、ある共通点があることに気付きます。 それは、若いときに治療した歯ほど早く喪失する、ということです。 永久歯が生えてきてそれほど時間が経っていない時に治療した歯から、失うことになるのです。 正直な話、一度も削られなかった歯の方が長持ちします。

再治療を極力しないようにすること!

何本も歯を失ってから後悔される患者さんを過去に何度も見てきましたので、当院に来た患者さんにはそんな思いをしてほしくありません。 たかが1本なんて思わないでください!

今回治療した歯はもう二度とむし歯にしないぞ!!というぐらいの意気込みで治療法の選択をはじめ、毎日の歯磨きや食習慣を見直していただきたいと思います。